
前編ではお茶の水駅から旧岩崎邸庭園まで歩きました。
後編では上野不忍池を通って上野公園方面に歩いていきます。
不忍池一面に広がる蓮
旧岩崎邸庭園を後にし、10分ほど歩くと上野不忍池に辿り着きます。
池いっぱいに蓮が広がっていました。
不忍池(しのばずのいけ)
旧寛永寺五重塔
ここから更に上野公園内にある数々の重要文化財の建物を観ながら歩きます。
上野東照宮の手前では、上野公園とを隔てる柵越しに、旧寛永寺五重塔を比較的間近に観ることが出来ます。
ここでは、社寺建築の屋根組で多く用いられる斗栱(ときょう)・尾垂木・地垂木・飛えん垂木などを確認することが出来ます。
斗栱とは屋根を支えるために柱頭に設ける部材のことで大斗・肘木・巻斗・方斗などで構成されます。
これらの組物によって、社寺建築の軒は大きく空に向かって迫り出します。
旧寛永寺五重塔 (上野動物園内)
1631年(寛永8年)竣工/ 重要文化財
上野東照宮に参拝
石灯篭を左右に見ながら歩みを進めると、上野東照宮に辿り着きます。
上野東照宮(うえのとうしょうぐう)
1651年(慶安4年)竣工/ 重要文化財
日光東照宮には左甚五郎作の眠り猫の彫刻がありますが、ここ上野東照宮唐門には左甚五郎作の昇り龍・降り龍の彫刻があります。
左右の縦長の額縁の中に左甚五郎作の昇り龍・降り龍の彫刻があります。
上野東照宮唐門
旧因州池田屋敷表門
更に東京国立博物館まで歩くと、その入り口の左手に古びた門があります。
大名屋敷表門としては、東京大学にある旧加賀屋敷御守殿門が赤門と呼ばれているのに対して、この旧因州池田屋敷表門は黒門とも呼ばれています。
旧因州池田屋敷表門 江戸末期
東京国立博物館内/ 上野公園側から撮影/ 重要文化財
旧東京音楽学校(現在の東京藝術大学音楽学部)奏楽堂
東京国立博物館の手前を更に左に進みます。
旧東京音楽学校奏楽堂は、1987年(昭和62年)に東京藝術大学音楽学部の敷地から、上野公園内の現在の場所へ移築・復元されました。
2階には、日本最古の洋式音楽ホールがあって、今でも東京藝術大学の学生による演奏会などを鑑賞することが出来ます。
また、舞台奥中央のパイプオルガンは、1920年(大正9年)にイギリスから輸入されたもので、今年で丁度100年目となり、コンサート用としては日本で一番古いパイプオルガンです。
奏楽堂が現役の音楽ホールですように、このパイプオルガンも現役のコンサート用パイプオルガンとして、その明るい音色もまた、東京藝術大学の学生による演奏会で聴くことが出来ます。
旧東京音楽学校奏楽堂
1890年(明治23年)竣工/ 重要文化財
旧東京音楽学校奏楽堂 2階音楽ホール
表慶館
少し戻って、東京国立博物館に入ると、左手に御影石の外壁とイオニア式オーダーが印象的な表慶館があります。
表慶館 東京国立博物館内
1909年(明治42年)竣工/ 重要文化財
旧東京科学博物館本館
東京国立博物館内の歴史ある展示物を鑑賞したのち、上野駅まで歩く途中には、国立科学博物館や国立西洋美術館が建ち並んでいました。
旧東京科学博物館本館(現在の国立科学博物館日本館)
1930年(昭和5年)竣工/ 重要文化財
国立西洋美術館
ピロティが特徴的な国立西洋美術館は、ル・コルビュジエの建築作品群として世界遺産に登録された7か国17件のうちの1件です。
ピロティ:2階以上の建物で地上部分が柱のみで他は空間となる建築形式
国立西洋美術館
1959年(昭和34年)竣工/ 基本設計ル・コルビュジエ/ 世界遺産・重要文化財
新しく建設された上野駅公園口
更に今、国立西洋美術館前から上野駅公園口にかけて、新たな空間が誕生しようとしています。
奥に見えるのが新しく建設された上野駅公園口
かつて、上野公園から上野駅公園口まで行くためには、信号待ちをして道路を横断する必要がありました。
公園口整備工事は現在も進行中ですが、既に広場が上野駅まで続き、道路を横断しなくても往来出来るようになっています。
アスファルトで仮舗装されている広場床の仕上げ工事完了はもうすぐでしょう。
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