日本水準原点

日本水準原点標庫
(2020年5月19日撮影)

士山の標高は、3776.12m(最高高さ)である。
さて、この標高とは一体何だろう。今回はそんな話である。

国会議事堂近くの国会前庭北庭(憲政記念館構内)の中に古びた小さな石造りの建物がある。この建物が、日本水準原点が収められている日本水準原点標庫である。

日本水準原点標庫は、明治期の数少ない近代洋風建築物である。
設計者は佐立(さたち)七次郎(しちじろう)、竣工は1891年(明治24年)、ドリス式オーダーを配したローマ神殿形式の建物である。
(建設ゲート2020年2月28日 建設クイズ「オーダー」参照)

国宝迎賓館赤坂離宮の竣工が1909年(明治42年)、重要文化財日本銀行本店の竣工が1896年(明治29年)であるから、この建物の古さが際立っている。そしてこの中に日本水準原点がある。

日本水準原点は東京湾の平均海面から測って決定したもので、全国の主要な道路沿いにある水準点の高さの大元(おおもと)になるものである。

日本水準原点と日本水準原点標庫の説明板
(2020年5月19日撮影)

さて冒頭の話題に戻り、富士山の標高が3776.12mなどと世間で良く使われるこの標高という呼び名であるが、測量法及び同施行令により東京湾の平均海面(T.P.とも言う)が標高0mと定められている。したがって、正確には、富士山の最高地点は東京湾の平均海面から3776.12mの高さにあるとの意味になる。

しかし、東京湾の海面は満潮もあり干潮もあるから測量の都度、東京湾から測量するのは非効率である。したがって、東京湾平均海面からの標高を明示した日本水準原点が日本国内の標高の基準と定められている。

日本水準原点の標高は、1891年(明治24年)の設置当時は24.500mだったが、1923年(大正12年)の関東大震災により0.086m沈降したため24.414mに改訂され、現在は2011年(平成23年)の東日本大震災により更に0.024m沈降したために24.390mに改訂されている。

日本水準原点の構造は、コンクリート基礎を地下10.3mの岩盤に支持させることにより地震時による上下変動を少なくしている。しかし、地殻変動の影響で岩盤そのものが動くため、設置当時から現在までの129年間で11cm沈降したことになる。こうして厳重に管理されている日本水準原点が、各地の標高を測量する場合の基準となる。

品川駅近くの国道15号に設置されている水準点 標高6.0749m
(2020年5月20日撮影)

尚、この日本水準原点を基とする各地の水準点は、全国の主な国道又は県道等に沿って約2km毎に設置されており、それぞれの標高が正確に記されている。この水準点は全国に約17,000点設置されていて、各地域における高さの基準として測量の際に使用し、日本各地の土地の高さを正確に求めることが出来るようになっている。

品川駅近くの国道15号に設置されている水準点の様子
(2020年5月20日撮影)

日本水準原点と日本水準原点標庫は歴史的価値が高いものとして、令和元年12月27日付けで測量分野の建造物として初めて国の重要文化財に指定されている。

<弘>

 

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