建設哲学実践講座第3回「辛さと楽しさの向こうにあるもの」

2017年4月 新人研修(首都圏外郭放水路(地下神殿)視察) 前列左から5人目が土田さん

回紹介する土田さんは、大学文系を卒業後、2017年4月から建築施工に従事している。

最初の2年半はリニューアル工事、その次が現在勤務する某マンション新築工事で4ケ月を経た。

入社以来2年11ケ月、現場の最前線で働いてきた土田さんだが、新築工事はこの現場が初めてである。したがって、杭から現在の2階躯体までの工事は、土田さんにとっては未知の領域であり、慌ただしい4ケ月だったに違いない。また、土田さんは、昨年秋、2級建築施工管理技士を受験し、合格した。国家資格を取得し、名実ともに技士となった土田さんの御話を紹介する。

 ※躯体:床や壁、梁など建物の構造を支える骨組のこと

2020年2月26日、曇り時々霧雨、某民間マンション新築工事で現場監督として働く土田さんを訪ねた。

約束の時間に現場前に到着すると、土田さんが私の名前を呼びながら現場から道路まで出て来てくれた。
「今、一人で配筋検査をしていたところです。今日、現場は、御覧の通り、外部足場の組立て作業をしています。

私は、この目の前で組み立てられている足場材の数量拾い(足場部材毎の数量を図面から算出すること)をしましたが、足りない部材があると、弋さんから怒られます。

何か問題があると、現場の最前線に立つ私に多くの不満がぶつけられてきます。俺らにとって、監督が男だろうが女だろうが関係ない、と職人さん達に良く言われます。

皆さん、段取りが狂うと、仕事がはかどりませんので、やむを得ません。皆さん、仕事に来ている訳で、お友達ごっこしに現場に来ている訳ではありませんから、問題や不満を聞いて対処することは大切な仕事です。
それが、私自身のミスから発生した問題であれば尚更のことです。

私は、防波堤と呼ばれています。私が立場上、一番下なので、現場の最前線に立ち、上司の手を煩わせずに、私の段階で問題を解決することが求められています。

上司から、現場をこう進めるように、と指示を受けても、実際には現場の諸条件からその通りできず、現場の職人さん達との板挟みになることも多く、辛いところです。ですから、上司への報連相は大事です。自分一人で全てを抱え込まないようにしています。

今後、躯体工事が上階へと進みますが、それは今まで経験したフローの繰り返しと言えますので、個人的にはある程度先を見越して仕事が出来るようになってきています。

また、躯体工事がある程度進むと、仕上工事も始まります。
来年3月の竣工まで、新たな工種がどんどん始まってきますので、その仕事にもチャレンジしつつ、この厳しい状況を乗り越えて行くつもりです。

2018年2月 リニューアル工事勤務時代に現場近くの喫茶店にて撮影

先日、2階立上り躯体のコンクリート打ちがありました。私が算出したコンクリート数量は136㎥で、実際に現場で打設した数量もピッタリ同じでした。良いことも悪いことも、現場では直ぐに目の前に結果として現れることが多いです。現場監督をやっていて、おもしろかったこと、楽しかったことは、何かをやりとげて、現場の皆でやったやったとお祭りのように喜び合うことです」

最後に、今後の目標は?と尋ねると、「1級建築施工管理技士を取ることかな」とのことでした。
誰もが通過する厳しい仕事に真正面からぶつかっている土田さんの本音の御話が聴けた。

私は、「あんな時代もあったなあ、といつか懐かしく思える日がくるよ。お元気で・・・」、と言って別れた。

若い時代に辛いと感じたことも、後に今の自分があの時代に戻れたらこうしただろう、
あるいは、どうしてあんなことに悩んだのだろう、
あるいは、あのときあの人が厳しくああ言ったのはこうだったからなんだ、
と後に笑えるときが必ず来ることでしょう。それが、人の成長というものですから。

土田さんは、この現場をやり切ったとき、どんな感想を聞かせてくれるのだろうか。

(弘)

 

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